琵琶湖に浮かぶ離島 沖島でのんびり島時間

湖の中に、人が定住する島があるというのを想像できますか?

世界でも珍しいその光景が、近江八幡市で見られるのをご存知ですか?

日本ではもちろん唯一の、「淡水湖に浮かぶ有人島」として知られる沖島(おきしま)は、近江八幡の港から船でわずか10分。

船を降りると、時間が止まったような懐かしい原風景が待っています。

実際に島を訪れて感じた魅力をたっぷりとお伝えします!


琵琶湖に浮かぶ離島 沖島でのんびり島時間

沖島とは?

近江八幡市 堀切港からの眺め
近江八幡市 堀切港からの眺め

沖島は琵琶湖の沖合、約1.5kmに位置しています。

沖島への船が出る堀切港から見える島は、涅槃仏(横たわる釈迦の姿)の姿に見えるとも言われているそう。

言われてみれば確かに、向かって左が頭にみえませんか?


2025年現在、島には220人ほどの島民が住んでいます。

ピーク時には800人ほどいたのが、年々減っているようです。


沖島へのアクセス

堀切港 GWのこの日は増便されていました
堀切港 GWのこの日は増便されていました
定期船が沖島に着いたところです
定期船が沖島に着いたところです

【港への行き方】

堀切港が、沖島への玄関口となります。

車の場合は、堀切港から徒歩5分のところにある来島者用駐車場をご利用ください。

バスの場合は、近江八幡駅北口から堀切港バス停まで「近江バス」か「市民バス(あかこんバス)」利用となります。

●近江バス→休暇村行き。所要時間は約30分。運賃760円。土日が運休

●あかこんバス→島・沖島町コース。所要時間は約50分。運賃200円均一。日・祝日が運休

使いやすい方をご利用いただければと思いますが、週末の運休にはご注意ください。

(運賃や運休日は2025.6月現在のものです。今後変更になることがあります。)


※近江八幡駅付近には大手レンタカー会社はもちろん、格安レンタカー会社もありますので、それを利用するのもおすすめです。


【沖島への行き方】

堀切港から沖島まで、おきしま通船の定期船で約10分です。

1日最大12往復運航しています。冬季、日曜などに減便がありますので、時刻表をご確認ください。

船賃は片道500円という気軽な船旅なのですが、乗船時間たった10分で全く違う時間が流れる別世界へ行くことができますよ!


沖島は釣り人にも人気らしく、釣り道具を持った乗客も多かったです。

波しぶきをあげ、小さな旅の始まりです。

島に到着!まずは漁業会館で美味しいもの探し

堀切港を出て約10分。船は、あっという間に沖島の港へ近づいてきました。

湖岸にぎっしりと家が並んでいるのが見えます。


港のすぐ前にある沖島漁業会館では、軽食やお土産を販売しているので、着いたらぜひのぞいてみましょう。


船が着いた直後の屋台は、多くの人で賑わっていました
船が着いた直後の屋台は、多くの人で賑わっていました
軽食を販売 奥に飲食スペースもあります
軽食を販売 奥に飲食スペースもあります
びわ湖で採れたもので調理されています
びわ湖で採れたもので調理されています

島に商店はほぼないので、食べ物は事前に買っておくか、漁業会館内の屋台で買い求めるのがおすすめです。

屋台の奥には長机の休憩スペースがあり、食堂にもなっています。

島内に飲食店はいくつかありますが、不定休も多いので事前にご確認ください。


私は、お弁当を前日予約しておきました。

お弁当の受取りは11時以降とのこと。

屋台の奥をのぞかせて頂くと、揚げたてを詰めたりと島のお母さんたちがお弁当作りに励んでおられました。おいしそう!

お弁当については、後ほどご紹介します。


沖島ならではの移動手段、三輪自転車

荷台が大きくてたくさん運べ、安定性も良さそう
荷台が大きくてたくさん運べ、安定性も良さそう
サドルに、ガンガンと呼ばれる缶をかぶせるのが沖島スタイル
サドルに、ガンガンと呼ばれる缶をかぶせるのが沖島スタイル
三輪自転車のレンタサイクルは珍しいですね!
三輪自転車のレンタサイクルは珍しいですね!

島には車も信号もありません。

島民の主な移動手段は、後ろに大きな荷台をつけた三輪車です。


三輪車に腰かけたまま、井戸端会議をしている年配者の姿をあちらこちらで見かけました。

島民みんな顔見知りという、とてものどかな風景です。

ノスタルジックな島の集落を歩いてみた

湖に浮かぶ郵便局は、日本でここだけです
湖に浮かぶ郵便局は、日本でここだけです
船に郵便配達の台車も乗っていて、集落を配達する姿が見られました
船に郵便配達の台車も乗っていて、集落を配達する姿が見られました

周囲6.8kmの小さな島で、集落は港周辺に集中しています。

集落自体は歩いても十分まわることができるコンパクトさです。

実際に歩いてみましょう。

細い路地では、玄関が向かい合わせに家が建っていました
細い路地では、玄関が向かい合わせに家が建っていました
島では、洗濯機を外に設置する家が多いです
島では、洗濯機を外に設置する家が多いです
湖沿いにも路地にも自転車がたくさん停めてあります
湖沿いにも路地にも自転車がたくさん停めてあります

集落を抜ける細い路地を歩いてみました。

路地には、昭和の時代から変わらないノスタルジックな雰囲気があふれています。


ここは漁師の方が多いので、日中休息をとられているかもしれません。

生活の妨げにならないよう、静かに歩かせてもらいましょう。



絶景ハイキングコースと島のお弁当

沖島の集落を見下ろしながら登りはじめます
沖島の集落を見下ろしながら登りはじめます
見景山(けんけいやま)が変化して、ケンケン山になったという説もあり、面白いですね
見景山(けんけいやま)が変化して、ケンケン山になったという説もあり、面白いですね

この日は、ケンケン山へ登ってみました。

コミュニティセンター横から登山道が始まります。

(途中でトイレはありませんので、港でお済ませください)

前半の登りルートはほぼ林間コースです
前半の登りルートはほぼ林間コースです

私が歩いた5月は新緑が美しく、林間を森林浴気分で歩くことができました。

コース上には、展望広場が三か所ありますので順にご紹介します。


漁港から歩くこと約20分で、一か所目の「お花見広場」へ到着しました。

特等席ともいえる大きな岩があり、そこに座ると琵琶湖を独り占めしているような気分です。


湖の対岸にある比良山系が目の前に広がり、絶景です。

琵琶湖を望めるスポットは県内のあちこちにありますが、ここは琵琶湖の中に浮かぶ島だけあり、湖との近さや湖に抱かれている感が格別でした。

ホオジロ広場
ホオジロ広場

二か所目の「ホオジロ広場」までは、お花見広場から更に約10分歩きました。

こちらはベンチがいくつかあり、三か所の中では一番開けていたので、グループでの休憩にもおすすめです。

景色としては、山並みが少し途切れた湖北方面が見渡せます。琵琶湖の広さを実感できますよ!


見晴らし広場
見晴らし広場

そこから少しアップダウンを10分ほど歩いて、三か所目の「みはらし広場」に着きました。

次々と眺望のいい場所が現れて飽きません。

こちらからは、近江八幡市方面を見渡すことができます。

ここは広場としてはあまり広くないので、お弁当を頂くなら先の二か所が良いかも…。


さて、お楽しみのお弁当をご紹介しましょう。

おいしそうなお弁当2種
おいしそうなお弁当2種
小さい方は税込み1100円。 小さい方でもかなりボリューミーです。
小さい方は税込み1100円。  小さい方でもかなりボリューミーです。
大きい方は税込み1320円。ニゴロブナ(鮒ずしの材料として有名)の煮魚も入っています
大きい方は税込み1320円。ニゴロブナ(鮒ずしの材料として有名)の煮魚も入っています

前日までに予約制のお弁当です。

(1個から予約購入可。また午前中なら、当日買えることもあります)

漁業組合の婦人部で構成される「湖島婦貴(ことぶき)の会」の方々が、沖島で採れる食材をふんだんに使用して作ってくださっているのです。

お弁当二種類を購入しましたので、比較してみました。

(金額や内容は変更されることもあります)


どちらも、エビと野菜のかき揚げ、あゆの天ぷら、うろり(小魚)の佃煮など琵琶湖の幸がいっぱいです。

目の前に広がる琵琶湖を眺めながらのご当地弁当は、最高!

普段は食べない琵琶湖の食材を頂くことで、沖島の生活に少し触れられた気がしました。


さて、みはらし広場のあとは、下りルートで厳島神社を目指します。

途中ではこんな巨石があり、古代から崇められていたのでは、と思わせる神秘的な雰囲気が漂っていました。


沖島のパワースポット 厳島神社(弁財天)

厳島神社(通称・弁財天)
厳島神社(通称・弁財天)

見晴らし広場からは、なだらかな下りが30分ほど続き、厳島神社に到着しました。

逆の順路でこちら側から登り始めると、じわじわときついかもしれません。


湖に立つ朱色の鳥居は、広島の宮島の厳島神社のよう!

湖で潮の満ち引きがないので、いつでもこんな美しい表情を見せてくれるんですね。


鳥居は湖に向かって立っています
鳥居は湖に向かって立っています
桟橋は網目なので下を見るとドキドキします
桟橋は網目なので下を見るとドキドキします

すぐ脇にある桟橋を進み、振り返ると琵琶湖側からの鳥居を拝むことができます。

湖の安全を祈り、琵琶湖の守り神として古くから信仰されてきた歴史が、凛と立つ鳥居の姿から伝わってくるようでした。


山へ向かって急な石段があり、登った先に本殿があります。

きつそうですが登ってみることにしました。

はぁはぁと息を切らせながら、こんなに登ってきました。

眼下に小さく見える朱色の鳥居と青い琵琶湖を見ると、疲れも吹き飛ぶようです。登ってよかった!


ここからは、湖岸沿いに小学校前を通って港方面へ戻っていくことになります。


島唯一の小学校

水泳の授業や遠泳会などでも使用される杉谷浜
水泳の授業や遠泳会などでも使用される杉谷浜

途中で砂浜がありました。この杉谷浜は、沖島小学校の生徒も水泳の授業や遠泳会などでも使用されているそうです。

こうして見ると、湖ではなく海にしか見えないです。

こんな豊かな自然環境で過ごす小学校生活は、かけがえのない宝物ですね!


小学校に、幼稚園も併設されています
小学校に、幼稚園も併設されています
湖を一望。インフィニティプールのような贅沢な眺めの学校プールも!
湖を一望。インフィニティプールのような贅沢な眺めの学校プールも!

まもなく、島内唯一の小学校である沖島小学校へ着きました。

味のある二階建て木造校舎がかわいらしい。


湖畔には広い校庭が広がっていました。

都会の小学校の運動場よりもよほど広いですが、生徒数は20数人ということです。

島では少子高齢化が進んでいて、子供が少ないので他学区からも船で通学できる制度があり、生徒の7割強が学区以外の子だそう。


この後、スタート地点の港まで戻ってきて、計2〜3時間ほどのハイキングでした。

ご紹介した全行程は歩けなくても、漁港から一番近い「お花見ひろば」まではぜひ登ってみてください。

沖島に来て、あの絶景を見ないのはもったいないですよ!




湖畔カフェでスイーツ、そしてフォトスポットの桟橋

屋外席のみで開放的です
屋外席のみで開放的です
すぐ目の前は湖
すぐ目の前は湖

最後にスイーツ休憩をしました。

オープンカフェ漣(さざなみ)さんでは、対岸の比良山系と琵琶湖という雄大な風景を眺めながらソフトクリームやドリンクを頂くことができます。

ちなみに港のある東側と、このカフェがある西側から見える風景はだいぶ雰囲気が違うんです。

私は、ダイナミックな風景が広がるこちらエリアも、とっても気に入りました。

港からは歩いても10分弱ですので、ぜひ足を延ばしてみてください。

平日だと、島のおばあちゃん方が働いておられるそう。

島の方とコミュニケーションを取りながら、ソフトクリームを食べるのも楽しみの一つかもしれません。

私はこの日、気さくなオーナーさんから島のいろいろな話を聞けて楽しかったです!


「あの桟橋」という変わった名前の桟橋です
「あの桟橋」という変わった名前の桟橋です

カフェ漣さんのすぐそばが長い桟橋になっていて、とっておきのフォトスポットになっています。

特に、琵琶湖がオレンジに染まる夕暮れ時はとても美しいそうなので、ぜひ素敵な一枚を撮影してみてください!

島との別れと、まとめ

美しかった港の湖の色
美しかった港の湖の色
「びわ湖と共に生きる 沖島」すてきなキャッチフレーズ
「びわ湖と共に生きる 沖島」すてきなキャッチフレーズ

帰りの船に乗り、また堀切港に戻ってきました。

「すごく遠いところに来たみたいだった」という隣の人の会話に、心の中で大きく頷いてしまいました。


とにかくのどかな島。

「何もないことが島の魅力」とも言われるようですが、不思議な魅力が詰まっていました。

古き良き昭和の漁村の風景が丸ごと残っていて、素朴な暮らしを垣間見られる島。

島民の生活の場にそっとお邪魔させてもらった気分でした。


たった10分、船に乗っただけで世界が変わるなんてなかなかできない体験です。

喧騒から離れ、島のゆっくりとした時間に身をゆだねる小さな旅を沖島でしてみませんか。


島のあとは長命寺温泉に寄り道しませんか

堀切港から車で15分ほど走ると、琵琶湖に面した長命寺温泉「天葉の湯」があります。

7種類のお風呂を楽しめるこの温泉は、滋賀県随一のラジウム含有量を誇る泉質が自慢です。

夕暮れ時には琵琶湖の美しい景色を眺めながら、疲れを癒すことができます。

お食事処だけの利用も可能なので、ドライブの途中に気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

この記事でめぐった沖島のスポットはこちら!

  • 堀切港
  • 沖島港おきしま通船乗船場
  • 湖島婦貴(ことぶき)の会の屋台
  • お花見広場
  • ホオジロ広場
  • 見はらし広場
  • 厳島神社(弁財天)
  • 杉谷浜
  • 沖島小学校
  • オープンcafe漣(さざなみ)

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ライタープロフィール

りん
東京から近江八幡に越してきました。「住んでよかったまち、訪ねてみてよかったまち、もう一度訪ねてみたいまち近江八幡」を日々実感しています。近江八幡の魅力をどんどん深堀りしていきたいです。
りん
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