岡山学区

市の北西部に位置し、ほぼ全域が肥沃な田園地帯で比較的平坦な地域。琵琶湖と関わりが深い地でもある南津田町、舟木町など水に関係のある町名が多くある。学区の南側には朝鮮人街道が通っている。小舟木町、加茂町、小西、田中江町、牧町、大房町、舟木町、南津田町で松明祭りが行われている。
田中江町では八幡神社と日枝神社の2ヶ所で松明祭りがある。
加茂町の加茂神社では競馬行事を伴う大祭が行われるが、松明行事は見られない。


南津田町(八王子神社)

松明の特徴

 

曵き摺り松明(舟松明)

材料は全てヨシで作成。太縄で縛っている。長さ約3m、直径1mで松明の中心には木杭を数本打ち込んでいる。
松明に立て縄(「の」の字)を4箇所掛けている。八幡祭には2基の引きずり松明と振り松明を奉仕する。若い衆の衣装は、紺の法被に家紋の入った腹当てを付け、股引に地下足袋を履き、頭には陣笠をかぶり、白タスキを背中で交差させる。交差させた白タスキが華やかである。南津田町から八幡宮まで「サラキョ・サラキョ」の掛け声とともに引きずっていく。松明の先には縄をつけているのでその縄を子どもが引っ張る。

振り松明(ローソク松明)

材料は全てヨシで作成。長さ約2.5m、太さ約20cm、6箇所を太縄で縛っている。松明に立て縄(「の」の字)を2箇所掛けている。八幡宮の大祭には振り松明を15基作成。八幡宮馬場に2列に並んで、若い衆が「ヨーイトナー」の掛け声とともに左、右に大きく松明を振りながら再び中央に合わせながら進行する。最後は楼門前で曵き摺り松明を立て、振り松明を曵き摺り松明の回りに添えるようにして燃やす。

基本情報

神社名 ①:八王子神社
②:日牟禮八幡宮
松明の名称・種類・本数 ①:松明6基/大松明1基
②:曵き摺り松明2基/振り松明15基
祭礼名 ①:藺田祭礼
②:八幡祭
場所(住所) 近江八幡市南津田町6
日時 ①:4月第1土・日曜日(昔:4月6・7日)
②:4月14・15・16日
地域の概要 西は琵琶湖に接し、八幡山西北の麓に位置する。かつては内湖をもち、水路が家々の間を縦横に走る水郷地帯として漁業も盛んだったが、昭和40年代初めに干拓されほとんどが水田となった。八幡祭では下之郷に属する。

 


小船木町(諏訪神社)

松明の特徴

開き松明の材料は、菜種ガラ、ヨシ、竹、縄で、芯は孟宗竹2本を番線をつないで使う。大松明は笹を用いる。開き松明は、先端を開き、下部の部分を袴と呼ぶ。開きのところにホウキと呼ぶ枕の部分がある。大きさは開き松明は2基とも高さ四間(約7.2m)、笹松明は高さ三間(約5.4m)下の直径は6mほどである。

基本情報

神社名 ①:諏訪神社
②:日牟禮八幡宮
松明の名称・種類・本数 ①:開き松明3基/大松明1基
②:笠松明1基
祭礼名 ①:諏訪神社祭礼
②:八幡祭
場所(住所) 近江八幡市小船木町230
日時 ①:4月5日、第1土・日曜日
②:4月14・15・16日
地域の概要 朝鮮人街道沿いにあり、街道沿いは店舗が並び他は農業地帯。かつては日牟禮八幡宮の場所にあったが、豊臣秀次の命で現在地に移ったと伝わる。また土田村の出郷であったともされる。八幡祭では下之郷に属する。

 


大房町(邇々藝志神社)

松明の特徴

松明

材料は菜種ガラ、ヨシなどで、笠部に笹、御幣などを付ける。高さ4m。男子(生後~小学6年生)がいる家では子どもの松明を作る。神社の松明を小型にしたようなもの。

基本情報

神社名 ①:邇々藝志神社
②:日牟禮八幡宮
松明の名称・種類・本数 ①:松明2基ほか子ども松明
②:松明1基
祭礼名 ①:邇々藝志神社祭礼
②:八幡祭
場所(住所) 近江八幡市大房町588
日時 ①:4月第1日・月曜日
②:4月14・15・16日
地域の概要 白鳥川の西岸にある農村地帯で、南端に朝鮮人街道が通じる。もともと小舟木町地先にあったとされ、後年現在地に移った。八幡祭では下之郷に属する。曳山を持ちかつては巡行していたが、現在は収蔵されたままになっている。

 


田中江町(八幡神社/日枝神社)

松明の特徴

松明

長さ約二間(3.6m)の杉丸太を芯棒とし、大(高さ4m)は菜種ガラを7段、小(約3.5m)は縄で5段に結い付ける。直径は下端で約1m。最上段にはヨシを付け、上部を折り曲げて開いた笠形にする。笠には菜種ガラでハチマキを巻く。笠の一部に菜種ガラの大小の飾り(ノシ)をつける。円錐形の一辺に竹の支えを付ける。当日、御幣を胴の上部に付ける。完成したら境内に縄と竹で支えて立てておく。大きい松明を本社よりに、小さい松明を入口寄りに立てる。向きは飾りをつけたところを本社に向かって右斜め前に向くようにする。

笠松明

松明は長さ二間半(約4.5m)の杉丸太を芯棒とし、菜種ガラを11段に縄で結んで結い付ける。最上段にはヨシを巻き、先端を折り曲げて笠とし、菜種ガラでハチマキを巻く。松明の一辺を竹につけ、先端の笠部のみ笹を残す。松明の胴部の上の方に御幣をさす。高さは約7~8mある。稚児松明は長さ二間(3.6m)。先端のハチマキは注連縄で高さは約6m。松明は境内の入口の方から下・中・上の松明、稚児松明の順に1列に立てる

基本情報

神社名 ①:八幡神社
②:日枝神社
松明の名称・種類・本数 ①:松明2基
②:笠松明3基/稚児松明1基
祭礼名 ①:八幡神社祭礼
②:日枝神社祭礼
場所(住所) ①:近江八幡市田中江町519
②:近江八幡市田中江町131
日時 ①:4月2・3日
②:4月の最終土・日曜日
地域の概要 集落の中央を朝鮮人街道が横断する。集落は「上の切り」「中の切り」「下の切り」に分かれ、それぞれに日枝神社・八幡神社・八幡神社を祭祀していたが、明治に中の切りの八幡神社を日枝神社の境内に移した。現在の八幡神社は下の切りの氏子で祭礼が営まれる。

 


牧町(五社神社)

松明の特徴

高さは三~四間(5.4~7.2m)くらい。芯棒に菜種ガラを9~13段巻きつけ、上にヨシを巻いて折って笠部を作る。笠のところは菜種ガラでハチマキを巻く。菜種ガラの尾を付け、菜種ガラの火打ちをぶら下げる。一面に男竹を取り付ける。その上に御幣を付ける。胴の側面の上方にも御幣(三幣)を付ける。笠の上には竹竿と夏ミカンの竿頭で日の丸の旗を立てる。笠には提灯や造花、モールなどを飾り付ける。

基本情報

神社名 五社神社
松明の名称・種類・本数 松明11基/大松明1基/子ども松明
祭礼名 五社神社祭礼
場所(住所) 近江八幡市牧町786
日時 5月3・4・5日
地域の概要 白鳥川の南側の琵琶湖岸にあり、湖岸緑地岡山園地がある。かつては祭礼本日を終えると馬場で馬駆けが行われていて、遠方からも多くの参加があったと伝わる。

 


加茂町小西(日吉神社)

松明の特徴

松明は2基作り、高さは1基が10m、1基が7mくらいである。「タイマツ」と呼び上部のヨシの部分を「カサ」と呼ぶ。芯棒の丸太に藁を巻きその上から菜種ガラを巻く。菜種ガラを奇数段(高い方は15段、低い方は9段)巻き、その上にヨシを付け、折って放射状に広げ、竹の輪を付けて笠とする。笠の直径は3mくらい。笠に菜種ガラのハチマキをし、椿をさして色を添える。全体の側面に、先端に笹を残した青竹を取り付けて仕上げ、神社の境内に立てておく。高い方を入口側、低い方を本社側にする。向きは明きの方にむける。御幣は社務所に置いておき、点火前に松明に付ける。神社の松明とは別に、男子のいる家では、それぞれに子ども松明を作っている

基本情報

神社名 日吉神社
松明の名称・種類・本数 笠松明2基
祭礼名 日吉神社祭礼
場所(住所) 近江八幡市加茂町
日時 4月第2土・日曜日
地域の概要 町の南よりを朝鮮人街道が通る。中世の加茂庄の総社は賀茂神社で、春の祭礼には競馬行事が行われるが松明行事はない。江戸時代は9つの村に分かれ全体として加茂とよばれていた。この9村のうち松明行事があるのはこの日吉神社のみとなっている。

 


船木町(青根天満宮)

松明の特徴

高さ5.4m程で、松明の笠には檜葉を付けて結い、ヨシより尾を付ける。
正面にタイコと呼ばれる作り物をつけて、檜葉で天神の紋を入れる。

基本情報

神社名 ①:青根天満宮
②:日牟禮八幡宮
松明の名称・種類・本数 ①長松明2基/笹松明1基/蝋燭松明5基
祭礼名 ①:青根天満宮祭礼
②:八幡祭
場所(住所) 近江八幡市船木町
日時 ①:4月第1土・日曜日
②:4月14・15・16日
地域の概要 八幡堀の東側に位置する。堀沿いには造船場や瓦工場などが並ぶ。八幡祭では下之郷に属する。青根天満宮を創建した青根長者は、土田町にいたと伝わる。かつては祭礼の後宴の日は長命寺の下などへ船行きをしていた。

 


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